立ち直り方はそれぞれ

グリーフワークとは、身近な人との別れの悲しみから立ち直るまでの事々をいいます。人によっては、恨みや悲しみを逝ったひとにぶつけて過ごす人、また、ある人は、幾日かの思い出三昧の後に、逝った人の心根に思いを馳せて立ち直って、別人のごとくいききと過ごすようになったという話もききます。大切な人を送って、その悲嘆をぶつけ合う機会を設けて、共に慰めあう試みで時間を過ごしたひとも、悲しみを絵に描いた人も、巡礼の旅を思い立った人も、壁にボールをぶつけていた人もあったことを聞きます。
悲しみを表現することで、喪失の事実を少しずつ受け入れられるようになったことも聞きます。その悲しみは愛の証明と書いた人がいます。その悲しみは自然なことと書いたひともあります。
グリーフワークの内容は様々で正解はないのですが、それらの人たちの自然な努力というようなものが、また、時間くすりというようなものが作用して、人間のもっている回復力も手伝って、残されたひとはグリーフワークをいたします。悲しみから無理に逃げることをせずに、悲しむことを成した結果におとずれる、納得のいく日々をつかむ事実があります。
人は思いもよらないことなどに出会った場合には、グリーフワークが終わるまでに長い時間がかかることがあります。心の準備ができていなくて、その現実を受け入れることが難しくて、グリーフワークが終わるまでの時間が長く必要になっています。万が一というような心の準備ができていた場合とは大きく違います。そのショックが大きい場合に、体調を崩すこともあります。抑うつ状態になることもあります。「もう立ち直らなければ」とか「まだ立ち直れない」という不安を持つ人もいます。
グリーフケアという言葉もあります。悲嘆にある人をケアするということなのですが、とても難しいことでもあるのです。ちょっとした違いで、その人の心を傷つけることにもなり兼ねないのです。心から配慮の気持ちで寄り添うことが大切です。新人の看護師も、グリーフワークになる方が多いと聞きます。